日本人の暮らしのなかでいきづく「赤」。祝事や魔除けの意味も持ち、日本独自の伝統文化として美しさと豊かさを受け継いできました。
「赤」は、紅、朱、茜、緋、丹など染料によっても名称が異なります。多彩な表現からも、古来より四季の移ろいを感じ、自然の色合いを暮らしに取り入れてきた日本人の技と美意識が感じられます。一日が始まり太陽が明るい、夜になると暗い「明い→赤:暗い→黒」が色の語源という説があるほど。日本人は時間の流れでさえ色調と捉える豊かな色彩感覚を持っています。
「紅花」は、花弁から染料や口紅の素になる色素がとれることから、山形では江戸時代に「最上紅花」の栽培が盛んでした。より濃くて鮮やかな紅色のために、手間をかけて何度も重ね染めして仕立てました。桜色や紅梅など紅染による美しい色は殿上人の装束として、その艶やかさは庶民の憧れとなりました。女性の化粧に口紅がとりいれられるようになると、時代はぐっと華やかに変化します。このように、「赤」を調べていくと、その時代性や地域性からも興味深い発見に出会えます。
日本の暮らしを彩る「赤」の魅力について、専門家の寄稿とともに、「赤」に込められた日本人の祈りや願いについて探究してみてはいかがでしょうか。
●日程:4月5日(水)~5月14日(日) 9:00~20:00
●料金:入場無料
●会場:生活工房ギャラリー(3F) (世田谷区太子堂4-1-1 キャロットタワー3F)