GREEN LIFE HOLISTIC ACADEMY主宰

仲里園子さん、山口蝶子さん

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用賀

ショウルームのように大きなガラスが印象的な入口には、フルーツのイラストと「Green Smoothies」の文字が描かれていた。その魅力的な言葉につられてつい店内に吸い込まれそうになる。店はまだ改装中だが、中ではグリーンスムージー®を日本中に広めた姉妹が、楽しそうに商品のパッキングをしていた。ふたりが考案したナチュラルなスイーツやスムージーは、どれも色鮮やかで美しい。ただおいしいだけでなく、目で楽しむこともでき、からだのことを考えた生活が続けられるよう細やかな工夫もされている。そんなふたりの、食に対する考え方を聞いた。
(左から仲里園子さん、山口蝶子さん)

文章:吉川愛歩 写真:阿部高之 構成:鈴石真紀子

食べられないものがあっても食事が楽しくなるように

食生活に変化が起こるタイミングは人それぞれだが、姉妹の場合は、姉・園子さんの出産だった。今は高校生になる園子さんの長男が生後2ヶ月だったとき、食物アレルギーだとわかったのだ。

「小麦粉や乳製品どころか、お肉もお魚も全部ダメでした。食べられるのはお米と海藻と野菜だけ。卵に触れるだけでも症状が出てしまうほどで、調味料も料理法も丸ごと変えざるを得なかったんです」(園子さん)

悲観してしまいそうなできごとだったが、「仕方ないと諦めて、おいしく食べられる方法を見つけよう」と前向きにとらえた園子さん。しかも食生活を変えてみると、長男の症状だけでなく自分の体調も急激によくなっていったという。その変化を間近で見ていた妹の蝶子さんも食生活を考え直し、そのときに感じた“からだの心地よさ”がふたりの活動の原点となっている。

アレルギー対応食は今のように豊富ではなかったが、幸いにも姉妹は子ども時代の9年間をイギリスとアメリカで暮らしていたので、アレルギーや代替食への考えが進んでいる海外のレシピ本を読み、日々の食事に取り入れることができた。
そうしてアレルギー食の研究を重ねた園子さんがレシピをブログで発表しはじめると、同じ悩みを抱えている人たちから“料理を教えてほしい”と連絡が来るようになる。こんなにもアレルギーで困ってる人が多いのかと驚いたそうだ。

そこで、子連れで参加できる料理教室「ハピネスキッチン」を自宅でひらくことに決めた。扱うのは肉や魚など動物性タンパク質を使わない、ヴィーガンのレシピだ。

「アレルギーがある人は、外食がとても難しいんです。今日は疲れたから料理したくないなと思っても、お惣菜を買って帰ることさえできない。だから少しでも料理する喜びを感じてほしくて。ヴィーガンって味気なくて地味な印象がありますが、味つけやボリュームを考えて、目でも楽しめる盛りつけになるように工夫していました」(園子さん)

蝶子さんも園子さんのアシスタントをしたり、休日にはイベント出店したりとかかわり、少しずつふたりでの活動が増えていった。ホームページや商品説明などの文章やプロモーションは、PR会社を経てライターとして働いていた蝶子さんが担い、デザインとレシピ開発は主に園子さんの仕事。お互いにもっとこうしてほしいと思うことはないんですかと尋ねると、「実は全然ないんです」と園子さんが笑った。

「自分がふたりいるみたいに、思うことや思考の方向性が同じなんですよね。だから安心して任せられて、言い合うこともないんです」(蝶子さん)
「それなりにきょうだい喧嘩もしてきたんですけど、大人になってからは、いつかふたりで何かやりたいねって話していて。夫婦が似てくるように、同じものを食べて同じ方向を見ていると、似てくるのかな」(園子さん)

そうして活動するなかで、ふたりはローフードという食事法で作ったスイーツのおいしさに目覚め、日本初のロースイーツ専門店「Shalimar de la TefuTefu(シャリマ・ドゥ・ラ・テフテフ)」をオープンさせた。2009年のことだった。

一躍、グリーンスムージーの火つけ役に

桜新町に構えたアトリエでは、ロースイーツの製造・販売のほか、料理教室も引き続き行った。今でこそ大手デパートの地下でも売られているが、当時ロー(Raw)という調理法は新しい文化だった。
ローフードとは、非加熱かつ48℃以下で作り上げたもののこと。必然的に小麦粉や米粉などの粉類は入らず、生のナッツや旬の果物などで作る。加工時に加熱が必要となる調味料も使わず、ココナッツオイルや加熱処理していないはちみつやカカオなどが使われるのだ。

「同じくして、ローフードの第一人者でグリーンスムージーの考案者である、ヴィクトリア・ブーテンコさんの代表作『グリーン・フォー・ライフ』を翻訳して出版することになりました。当時日本ではグリーンスムージって何? という感じで、わたしたちもこんなにメジャーになるとは思っていなかったんです。ただ、日本の人は緑色の食べ物に比較的抵抗がなく、青汁ブームも手伝ってか、すぐに健康によいイメージを持っていただけました」(蝶子さん)

生の葉野菜とフルーツだけで作るグリーンスムージーは栄養価が高くて何よりおいしく、その魅力はあっという間に伝わった。数々の著名人にグリーンスムージーの作り方を教えたり、テレビでそのよさを紹介したりし、雑誌でもたびたび取り上げられるようになる。家電メーカーのビタントニオと共同で、グリーンスムージー作りに適したブレンダーの開発もした。そうしてほとんど知られていなかったグリーンスムージーは、今や誰もが知る身近なものになったのだ。

オンラインだからこそつながることができた縁

その後ふたりは「GREEN LIFE HOLISTIC ACADEMY」を立ち上げ、グリーンスムージーの作り方を教えるワークショップや、インストラクターになるための講座を設けた。受講のために北海道や沖縄から飛行機に乗ってくる人も多く、資格を取得したオフィシャルインストクターは自然と全国に広がっている。

コロナウイルスの影響から料理教室やイベントは休業状態が続いているが、オンライン講座を設けたらそれが功を奏して、今も多くの受講生が参加している。
「イベントや講座への参加には場所と日時がとても大切になってくる、という当たり前のことに改めて気づきました。どうしてもその曜日では合わない人、子どもがいて夜参加できない人、仕事があって日中参加できない人、それぞれに事情がありますよね。でも、オンラインならば好きな場所で受講でき、アーカイブでも学ぶことができるんです」(蝶子さん)

現在はグリーンスムージーの講座のほか、基本の材料を届けてもらうこともできるロースイーツや甘酒作りのオンライン講座もはじまっている。ほかにも、満月や新月に合わせてデトックスできる「おうちリトリート」のキットの販売もはじめた。
「このリトリートキットは、おうちで過ごす時間が増えた今、とても需要が高まっています。リピーターの方も多いので、習慣にしていただけている実感があって嬉しいです」(蝶子さん)

「びっくりしたのは、世田谷区にお住まいの方からのご注文がとても多かったこと。普段ワークショップにいらっしゃるのは遠方の方が多かったので、世田谷の方にも知っていただけていたんだ! って嬉しくなりました」(園子さん)

キットの中に入っているものは、デトックス期間中にいただくハーブテイーやオリジナルの甘酒ドリンク、マッサージオイルやクリスタルなどだ。それらを用いながら、蝶子さんが書いた丁寧なガイドブックに沿って3日間を過ごす。こんなにかわいらしいキットなら、毎月続けられそうだ。

「3日間とれない人は1日でもいいし、満月や新月でなくても構いません。ただ、いつでもいいよっていうとタイミングを失ってしまうのと、同じ時期に他の方もトライしていると思うと、がんばれるんです。リトリートをきっかけに、ちょっと自分のことを大事にしようかなって思えるようになったらいいですよね。心地よい暮らしのさまざまな提案は、これからもしていきたいです」(蝶子さん)

ふたりが見つけた宝物がいっぱいのリトリートキット

そんなキットの中にも入っている甘酒を使って園子さんが作ってくれたのは、レモンをたっぷり絞ったスムージー。甘酒200mlに対して大さじ1くらいの水を入れ、1/2にカットしたレモンを絞ってブレンダーにかける。レモンの酸味であっさりとしていて、麹独特の香りは控えめだ。
「身体にいいとわかっていながら、実は甘酒が苦手で。どうしたらおいしく飲めるか考えて、クセの少ない麹を取り寄せ、おいしく仕上がる温度帯や発酵時間を研究して作っています。とろみが少なくてさらりとした味わいになるので、苦手な方も飲みやすいんですよ。夏は塩を少し入れて、スポーツドリンクのように飲むのがおすすめです」(園子さん)

キットの中身を眺めていると、ふたりが集めてきたものそれぞれへの愛が伝わってくる。たとえば姉妹がアメリカで見つけてきた「キャラメルデーツ」は、黒糖のようなコクのある甘みとねっとりとした食感で、一粒で十分満たされるおやつだ。ファーマーズマーケットで試食して以来どうしても忘れられず、はじめての経験ながらも輸入の手続きを経て販売できるようになったそうだ。

「今年のはじめに、デーツのファームにも行ってきたんですよ。パームツリーしかない砂漠のようなところにデーツの木があって、りんごのようなカリッとした食感の実がつきます。デーツは、乾燥機を使ってドライにするのではなく、果実が栄養価と甘みを蓄えられるように樹上で完熟させてから収穫するんです。だから必然と水分が抜けていき、現地の人はドライフルーツだと思っていないんですよ。こんなふうに生産されている場所を見に行くのをライフワークにしています。作っているところを見て、そこで知ったストーリーをお客さまたちにもお知らせしたいし、生産者の方に感謝の気持ちも伝えたくて」(蝶子さん)

ラッピングに使っている糸は、タイの少数民族の村で自生している藍で染めたもの。夏には毎年ここで藍染展の開催もしていた。ヨガ動画や瞑想用の音声ガイドは、祖師ヶ谷大蔵でサロンを運営しているアーユルヴェーダセラピスト・林亜希さんに作っていただいたものだ。ふたりが活動をはじめてから10年、世田谷とのつながりもどんどん増えてきている。

「同じようなものが好きな人って、どこかで繋がるんですよね。扱っている器は、わたしの高校時代の友人で、世田谷で作品づくりをなさっている陶芸家・竹田せりさんの作品です。展示会も定期的にここで企画しているんですよ。あとは松陰神社で参鶏湯屋さんをしていた脇もとこさんと、参鶏湯を食べる会をひらいたり。近隣の方がふと寄れるように、場所をひらいていきたいなと思っています」

現在、桜新町のアトリエでは製造と発送をメインにし、用賀の「Tree of Life」は、これから地域の方にも足を運んでもらえるよう準備中だ。「経堂にあるインテリアショップ『Rungta』のオーナーに知恵をいただいて、少しずつ改装しているんです。今後は展示会をしたり、商品も陳列して、足を運んでもらえる空間にしたいなって思っています」(園子さん)

光と風がよく入る店内で、ぴかぴかの頬をしたふたりが楽しそうに笑う。それを見ているだけで、なんだかすこやかな気持ちになってくるから不思議だ。お腹のなかが整うと心も整い、やさしさが持てるようになると、どこかで聞いたことを思いだす。食生活を見直したふたりが感じている心地よさは、もしかしたらそういう淀みのない感覚なのかもしれない。

GREEN LIFE HOLISTIC ACADEMY
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Tree of Life
住所:東京都世田谷区上用賀5-16-21 グリーンハウス3-1F
電話番号:03-6338-8621
※改装中のため営業再開はホームページでご確認ください。
 
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