ゆうきさん・くみこさん

最寄り駅
松陰神社前

建築家の夫・ゆうきさん、主婦のくみこさんご夫妻。約1年半前から、入籍を機に今の松陰神社前に暮らし始める。ゆうきさんは、その後事務所も近所に構え、今はこのエリアにどっぷり。くみこさんは、実家のある静岡と行き来をしつつ、ゆうきさんの仕事を手伝っている。「田舎育ちだから、電車が苦手」と語る二人が、この都内の一角でどう暮らし、二人にはこの街がどう映っているのか、伺った。 編集:加藤将太 執筆:軽部三重子 写真:仁志しおり

ネガティブだった、世田谷線エリアへの印象。

都内で建築家として働くゆうきさんと、静岡で働いていたくみこさん。くみこさんが東京と静岡を行き来する形で交際を続けていたが、入籍が決まり、二人で住む部屋を探すことに。そこで選んだのが、松陰神社前。なぜこの街だったのか? そのいきさつから伺った。

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「選んだ理由としては、仕事で付き合いのある方に紹介してもらったのが大きかったんです。正直なところ、最初の一軒を見に行くまでは、世田谷線に乗ることに対してネガティブだったんですよね。だけど、部屋を見に来た時に商店街の雰囲気が良かったのと、三軒茶屋まで15分ならその頃住んでいた下馬と変わらないか、と思いまして」(ゆうきさん)

「私も、仕事にプラスになるならいいよってOKしたんですけど、当時は静岡で働いていたので、住む実感がなかったんですよね。一人暮らしの部屋にたまにお邪魔する感覚で(笑)。まぁ2年後の更新のタイミングでまた引っ越してもいいか、くらいの気持ちだったんです。」(くみこさん)

と、案外あっさり新生活の拠点を決めた二人。

「でも、住んでからいいなって思うことは多いですね。お買い物が便利で、商店街とサミットで何でも揃いますしね。唐揚げにしても商店街に4店舗くらいあるので、食べ比べもできるんですよ。お肉は染谷で買って、野菜はq’s martとサミットとアリクを回って……と使い分けてます」(くみこさん)

「たしかに住んでみると、三軒茶屋側から見て面倒くさそうだと思っていたのが、今は逆にわざわざ三軒茶屋に出るのが面倒くさくなったね」(ゆうきさん)

掘れば掘るだけ滲み出てくる街の面白さ。

今は、二人ともすっかりこのエリアに惚れこんでいる様子で、「世田谷線沿いに住むのはいいよね」と語るゆうきさんは、現在、自らの事務所も松陰神社前に構えている。

「仕事の方では、僕と他4人でハンディハウス プロジェクトという建築ユニットをやっていまして。設計事務所出身が二人と現場監督出身が二人いて、“妄想から打ち上げまで”っていうコンセプトで、設計から工事までやっています」(ゆうきさん)

「私もまだ静岡と行ったり来たりなんですけど、夫が忙しい時はお手伝いをして、現場でタイルを仕分けしたり、養生を外したり」(くみこさん)

「結婚記念日も、夜中の2時までモザイクタイルを切り分けてたもんね」(ゆうきさん)

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この界隈を見ていると、二人のように仕事が見える距離で暮らす人が多いように感じる。歩いていても、店に入っても、夫婦や家族の姿も多い。くみこさんもこれまで、半分東京、半分静岡という生活を続けてきたが、最近になってようやく東京にいる時間の方が増えたという。

「二人でよくご飯を食べに行ったりもするんですよ。飲み屋さんも多いしね。喜楽、ヒポポタマス、とみやとか……」(くみこさん)

「とみやは、妻が静岡に帰ってる時にもかなりの確率で行ってますね。家みたいに落ち着く(笑)。あと、知り合いに教えてもらった大丸鮮魚と福の家にも結構行ったよね」(ゆうきさん)

「もんじゃ焼きにも行ったし、あと串カツ田中!とにかく堀り甲斐のあるエリアなんですよね、ここは」(くみこさん)

電車嫌いだけど、車があれば怖いものなし!

仕事も生活もこのエリアで送っているとはいえ、三軒茶屋から世田谷線というひと手間について、二人はどう感じているのだろう?

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「僕は、引っ越してきて4ヶ月くらいの時に車をもらったので、現場への行き来は車で済ませることが多いんですよ。今は現場が和光で、久しぶりに電車を使ったら、やっぱりつらいなとは感じました」(ゆうきさん)

「最初は私も、東京で車には絶対乗りたくないって言ってたけど、電車と車とを天秤にかけたら、頑張って車に乗る方がいいなって。豊洲とか、虎ノ門とか、築地とかへも車で行っちゃいます。車があれば怖いものなしだよね」(くみこさん)

「お互い田舎出身だから、電車が苦手なんですよ。車移動ができるのと、この辺で何でも済ませられるからいいですけど、車がなくなったら東京を出たいと思うようになるでしょうね」(ゆうきさん)

「この街で過ごしている間は、高い建物がないし、田舎にいる気持ちになれるんだけどね。三軒茶屋まで出なくても、上町まで行けばなんでもあるし。実家の三島から上町に帰る時も、三島から池尻までノンストップの高速バスがあるから、意外と楽なんですよ」(くみこさん)

「バスが発達しているのは有り難いよね。六本木に行く時もバスを乗り継いで行ってます。バスを使い始めると、ローカルの人になった感じを味わえて、それはそれで楽しいですよね」(ゆうきさん)

定住しないなら、海外移住かな。

「この街に慣れる前は、30歳までに東京を出ようと思っていたんですよ。でも、松陰神社前の雰囲気だと、腰を据えそうになる感じはあるな、と」(ゆうきさん)

「ここは、東京は東京なんだけど、東京で暮らすか田舎で暮らすかを並べて比較するような場所ではないんですよね。だから今は、もっと自由に、仕事のことだとか子供を育てていく環境だとかで選んだらいいのかなって」(くみこさん)

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確かに、働く場所として東京は魅力の多い街かもしれないが、家族で長く暮らす場所となると別の選択肢を考える人も多いかもしれない。最後に、未来のことを語ってもらった。

「都内でエリアを変えることはないと思いますね」(ゆうきさん)

「この街は子どもも多いし、公園もあるし、子どもを育てやすそうだなと感じるので、このままここに住みたいなって。先輩ママに、世田谷は出産に関しても補助がしっかりしてるよって聞いているので、できればいたいなって思います。それでも移り住む可能性があるとすれば、夫の実家の福岡か、私の実家の静岡か、もしくは海外か(笑)」(くみこさん)

「最近急浮上してるんですよ。何年後かは海外で生活したいなって。ここを離れるなら、もう海外ですかね」(ゆうきさん)

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