戦後に普及した「家庭用編み機」（家庭機）は、誰でも早く簡単に、きれいに編めることが目指されたプロダクトとして、1950年代後半から60年代にかけて流行しました。最盛期には年間100万台が生産されており、花嫁道具としても売り出されています。ミシンと並ぶ定番の家庭用品であり、またニット製品を量産するための仕事道具でもありました。しかし既製服が一般化すると、編み物は「作るもの」から「買うもの」へ、「家事」から「趣味」へとシフト。やがて家庭機は、徐々にその姿を消していきました。

この展覧会は、各時代の家庭機や編み物、雑誌等の資料を糸口に、この家庭用品を中心に編成された「暮らし」と「編むこと」の関わりを辿ります。あわせて現在も家庭機を使用するニッターの作品も紹介。1923年に考案され、はや100年、長らく忘れられてきた家庭用編み機の可能性を再考する企画。寒さが日に日に増していくこの季節、ぜひ訪れてみてください。

▼関連イベント
ウィークエンド・ニッティング
11月と1月の3日間、家庭機と編み物に触れるイベントを連日開催。会場では毛糸や手編みキットなども販売します。
日程：11月17日（金）～19日（日）、2024年1月19日（金）～21日（日）
会場：生活工房ワークショップルーム

ニットスペース「ほったらかし手編み倶楽部」
テーブルとイスのみ用意された「ほったらかし」なスペースを無料でご利用いただけます。なお家庭機のご用意はありません。手編みの道具と毛糸をご持参ください。編み物で分からないことは、「ほっておけない」誰かが助けてくれるかも。
日程：11月17日（金）～19日（日）、2024年1月19日（金）～21日（日）
時間：10:00～17:00 ※入退場自由
会場：生活工房ワークショップルーム
申込：不要、直接会場へ
参加費：無料