特集
せたがやンソンの誘惑|VOL.2
スウェーデンの定番グラタン料理を“ヤンソンの誘惑”と呼ぶことと、世田谷由来の食材を使って料理をつくろうというテーマからはじまった、『せたがやンソンの誘惑』。第1回の麹料理研究家、おのみささんによる「塩麹料理」に続いて、第2回はキッチン☆ボルベール 竹花いち子さんの「さばみりん干しのサラダ」。
「さばのみりん干しをサラダに??」という人にも、「あれ、美味しいんだよねぇ」とその味を知る人にも必見のレシピです。今回はレシピとともに、いち子さんがオーナーシェフを務めていた世田谷ミッドタウンの名店『東京料理 タケハーナ』のエピソード、先日行われた「タケハーナ復活祭り」の模様、現在行っている料理教室のお話なども、たっぷりご紹介します。
文章:小谷 実知世 構成:加藤 将太 写真:豊島 望
さばみりん干しのサラダのつくりかた
さてさて、美味しそうな話ばかりが続いて、「はやく食べたい!」という声も聞こえてきそうなところで、ようやくレシピ紹介。タケハーナレギュラーメニューのなかでも1,2を争う人気者だったという「さばみりん干しのサラダ」です。
<材料 / だいたい2人前くらい>
※くどいようですが、量は見当。味を見ながらいろいろと実験してくださいね。
■さばのみりん干し
さば
― つけ汁
濃口醤油250cc
ナンプラー50cc
みりん200cc
酒50cc
黒糖大さじ5
■サラダ
つくったさばのみりん干し 1/2枚
春菊 1束弱
キュウリ 1/3~1/2本
長ねぎ 6cm
レモン 適宜
薄口醤油 少々
胡椒 たっぷり
ごま油とサラダ油(キャノーラ油など) 大さじ1ずつ見当
昔から魚は、世田谷ミッドタウンでもある桜新町の神田屋で購入しているという。神田屋は1939年創業の老舗。刺身、切り身、塩干加工品なども合わせて、常に70~80種の品揃えを誇る活気溢れる名物 魚屋だ。
「安いし、新鮮だから、料理人の仕入れでよく使われるお店。電話をしておいて、取っておいてもらうことも多いです」といち子さん。
<作り方>
さばは3枚におろし、砂糖(材料外)をつけて1時間~3時間ほどおいて水分を抜いたのち、洗って拭きとっておく。
つけ汁の調味料をすべて鍋に入れて沸騰させて煮きり、冷めたところにさばを入れて一晩漬けておく。
漬けておいたさばを取り出して、天日で干す。夏なら3時間ぐらい、冬なら5時間ぐらいが目安。
つくったみりん干しをグリラーや魚焼き器できちんと焼いて、熱いけれどなんとか触れるくらいになったら荒めにほぐしながら骨を取り除いておく。
春菊は茎から葉をむしって水で洗ってザルにあげておく。葉っぱは上から下に引くと筋が残って口当たりが悪いので、上に引っ張るようにちぎる。
長ネギは6cmほどに切ってから、縦に切り目を入れて白髪ネギと呼ばれる細い千切りにして水にさらし、水気をよく絞っておく。キュウリは縦半分にしてから斜め切り。
大きめのボウルにすべてを入れ、レモン汁、胡椒、淡口醬油も投入。全体が混ざるようにふんわりと手早く手で混ぜ、器に盛りつける。
小さなフライパンなどでごま油とサラダ油を煙が出るほど熱して、盛りつけたサラダの上から回しかけてできあがり。
みりん干しと野菜の味が相まって、なんとも癖になる「さばみりん干しのサラダ」。春菊が嫌いな人も「これだけは大好き!」と言ってくださるという不思議なメニューだったとか。タケハーナ人気の味をぜひお試しください。