特集

せたがやンソンの誘惑|VOL.3

上町「鹿港(ルーガン)」の知る人ぞ知る名物といえば「まん頭」。あんまんや肉まんとは異なり、具材の入っていないふわふわの蒸しパンのことだが、シンプルなだけに、どうやって食べたらいいのかわからない人もきっといるのでは? 「おいしい食べ方を知っているのは常連さん」という店主、小林貞郎さんの言葉どおり、料理家のたかはしよしこさんも、まん頭を愛して止まないファンの一人。世田谷ミッドタウン在住歴10年以上のたかはしさんに、このエリアの住み心地と、おいしいまん頭の食べ方を教えてもらいます。

文章:薮下佳代 写真:山川哲矢 構成:加藤将太

旅先で出会った味のイメージを再現

レシピってどういうふうに思い浮かぶのだろう? たかはしさんに聞くと、「“おいしい”と感動した味を何年経っても覚えていて。その味のイメージを自分なりに再現するんです」と答えてくれた。

旅先や外食など、いろんなところで食べてきた味の記憶が、たかはしさんの中で変換され、たかはしさんの手によって新たな料理に生まれ変わる。

「まん頭も、台湾ではじめて食べた時、衝撃のおいしさでした。まん頭の中身は高菜、蒸し豚、香菜にピーナツがたっぷりかかっていて。しかも100円ぐらいで食べられるんです! 今回は大好きな上町の『鹿港』のまん頭を使って、簡単につくれる鶏肉で再現してみました」

もう一品は、お気に入りのスーパー「ムスビガーデン」のお魚から。

「新婚旅行で立ち寄ったフィレンツェで、市場の近くに『チブレオ』というおいしいレストランがあって。まぐろとセロリの組み合わせで食べたことがなくて、その味にとても感動したんです。そのお店の十八番料理なんだとか。イタリアの思い出の味ですね」

まん頭サンドのつくり方

何はなくとも、まず鹿港のまん頭を入手しましょう。あとは挟むだけ。いろんな味と食感が楽しめるので、挟むものはいくらでもアレンジOK。ほうれん草のナムルや、じゃがいもをスライスして炒め、塩こしょうで味つけしたもの、きのこを炒めたものなど、野菜のナムルをたくさん用意して、まん頭に挟むだけでも十分おいしい。まん頭の何でも包んでしまう包容力、すごいです。

<材料 / 4〜5人前くらい>
鹿港のまん頭 4~5個

台湾風蒸し鶏

鶏もも肉・・・1枚

― つけ汁

醤油・・・150cc

みりん・・・150cc

スターアニス・・・2個
花椒・・・小さじ1
シナモン・・・1本
クローブ・・・3個
唐辛子・・・1本
にんにく・・・1/2かけ
生姜・・・2スライス

にんじんのナムル
にんじん・・・2本
塩・・・小さじ1/2
ごま油・・・大さじ1.5
炒りごま・・・大さじ1.5
ニンニク・・・1/2かけ

香草のミックス
クレソン・・・適量
香菜・・・適量

白髪ネギ・・・適量

台湾風・ピーナッツじゃりじゃり塩
ピーナッツ・・・50g
黒胡麻・・・大さじ1
洗双糖 or グラニュー糖・・・10g
塩・・・3g
もみ海苔・・・2g
花椒パウダー・・・少々
黒胡椒パウダー・・・少々

ラー油・・・適宜
(氷見コンカラー油を使用しましたが、無い場合は市販のお気に入りのものを使ってください)

<つくり方>

洗った鶏もも肉を耐熱容器に入れ、しょうゆ、みりん、スパイス類を加えて、蒸し器で20分〜30分蒸す。蒸し上がったら、食べやすい大きさに切り、白髪ネギを盛りつける。

にんじんを千切りにし、塩をふりかけしばらく置いて水気が出たらしぼる。 塩もみの塩で味が決まっているので、ごま油、炒りごま、すりおろしたニンニクを加えて、混ぜるだけで完成。

次に香菜とクレソンを食べやすい大きさに切り、混ぜ合わせておく。

ピーナツをフードプロセッサーにかけ荒めに砕いたらボウルに出して、砂糖と塩と小さくちぎった海苔を加えて混ぜ合わせる。砂糖のジャリジャリとした食感を出すために、洗双糖かグラニュー糖のような結晶化したものを使用する。

鶏肉が蒸し上がったら、今度はそのまま、真ん中に切れ目を入れたまん頭を、蒸し器で5分ほど蒸す。

仕上げはお好みで。真っ白なまん頭を開き、蒸し鶏を漬け汁もたっぷりと一緒にのせ、その上ににんじんのナムルと香草をたっぷりと。ラー油を小さじ2杯ぐらいお好みでかけて、最後にジャリジャリピーナツをふりかければ完成!

ジャリジャリピーナツの代わりに、エジプト塩を加えても最高においしい。口のなかが、台湾からシルクロードを旅しながらエジプトへ行くような、そんな気分になること間違いなし!

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