特集

世田谷ミッドタウン コーヒー&サムシング

美味しいコーヒーを飲めるお店がたくさんある世田谷ミッドタウン。ただコーヒーを楽しむだけではなく、絶品の焼菓子に心地よい音楽、本に囲まれた空間や昭和の名残を残す昔ながらの喫茶店…幅広いスタイルで個性際立つお店が目立ちます。そんなコーヒーと“サムシング”を存分に体験できるお店全15選をご紹介。あなたに合う“サムシング”が見つかりますように。

構成・文章・写真:せたがやンソン イラスト:オガワナホ

三軒茶屋|Cafe Obscura
至福の一杯と感性も刺激される空間

2019年に創業10周年を迎えた「OBSCURA COFFEE ROASTERS」によるカフェ。三軒茶屋エリアには、「Laboratory」「Mart」「Factory」を合わせて4つの場所を構えるが、椅子に座ってコーヒーをゆっくり楽しめるフルサービスのお店がこの場所だ。全員コーヒー好きという共通項からお店を始めたオーナーたちは、学生時代の同級生。出身地である広島にも、徒歩で行き来できるエリアに2店の姉妹店を持つ。サイフォン式で一杯ずつ丁寧に抽出するコーヒーの中でも、創業時から提供するチョコレートブレンドがおすすめ。チョコレートのコクをイメージしたブレンドで、“チョコブレ”の愛称で親しまれている。空間にそっと溶け込むアート作品に、コーヒーにまつわる本、写真集やアートブックなど国内外の本が収まるミニマルなシェルフも魅力。ジャンルや本の高さ、背表紙の色で揃える棚は、佇まいに美意識が宿る。コーヒーを飲みながら過ごす時間は、居心地のよさを提供するだけでなく感性をも刺激する。

Cafe Obscura
住所:東京都世田谷区三軒茶屋1-9-16
TEL:03-3795-6027
営業時間:11:00〜20:00
定休日:水曜
OBSCURA COFFEE ROASTERS ウェブサイト

 
 

三軒茶屋|MOON FACTORY COFFEE
夜深い時間を、コーヒーとともに過ごす

三軒茶屋の三角地帯のほど近く。ネオンサインが煌めく雑踏の中、ふと目線を上げると月のマークが暗闇に浮かぶ。細い階段をのぼり扉を開くとコーヒーの香りが鼻孔をくすぐる。京都・木屋町にお店を構える「ELEPHANT FACTORY COFFEE」の姉妹店として2011年にオープンした、午後1時から深夜1時まで開いているコーヒー専門店だ。「コーヒーというものを真ん中において、それと結びつくものをお店に集めているんです」と話すのは、店長の尾崎さん。読書をする人、会話を楽しむ人、タバコとともにひと息つく人などコーヒーとともにそれぞれが思い思いの時間を過ごす。オープン時から提供するブレンドには、数字が振られている。数年に一度アップデートされるためだという。マンデリン・ペルー・ブラジル・グァテマラをブレンドした7番は、深煎りで苦味がしっかりとした味わいだ。月のように優しく迎え入れてくれるこの場所で、ゆったりとしたひとときを過ごしたい。

MOON FACTORY COFFEE
住所:東京都世田谷区三軒茶屋2-15-3
電話番号:03-3487-4192
営業時間:13:00〜25:00
定休日:木曜

 
 

駒沢大学|PRETTY THINGS
アナログレコードの音と楽しむ、“よろず屋”での一杯

駒沢の地で20年以上も愛され続けている「バワリーキッチン」の姉妹店。趣のある建物に一歩足を踏み入れると、アンティークのタイルにシャンデリアが飾られる店内に所狭しとレコードや本、雑貨などが置かれている。内装は故・形見一郎さんが手掛けた系列店では最後のデザインでもある。あえて看板を出していないのは、固定概念を植え付けたくないという思いから。「コーヒーに興味がある人しか来ないというのではなく、地域に根付いたよろず屋のようなお店にしたいんです」と話すのは店主の山本さんだ。フレンドリーなスタッフが迎えてくれ、アナログのレコードでいい音を聴きながら気持ちよくコーヒーが飲める。隣の空間には焙煎機が鎮座し、コーヒーはハンドドリップで提供する。おすすめは、フルーティな酸味でナッツのような香りを感じられるエクアドル。合わせてアメリカンなクッキーにもついつい手が伸びる。歩いて行き来できる「バワリーキッチン」とぜひはしごしてほしい。

PRETTY THINGS
住所:東京都世田谷区駒沢5-19-10
TEL:080-5896-3631
営業時間:11:00〜21:00
定休日:無休
PRETTY THINGS Instagramページ

 
 

駒沢大学|SNOW SHOVELING
本屋での一杯に感じる、ある種のノスタルジー

駒沢公園通りを等々力方面に南下したマンションの2階。「Don't be afraid.」のメッセージが迎える扉を開くと、本棚に囲まれたほの暗い空間が広がる。店主の中村さんがDIYでつくり上げたという店内には、古びたテーブルにソファ、壁面にはポスターが飾られ、アメリカで買い付けてきた雑貨などが散りばめられている。そんなカオスな本屋さんで、オプションとしてコーヒーが飲める。それもドネーション制のセルフサービスで。ヴィンテージ感のあるグッドルッキングなマシンが日々コーヒーを淹れている。「昔アメリカを旅していた時にデリで95セントのコーヒーを飲み続けていて。まずいのですが飲むうちに味に慣れて、たまに美味しいものを飲むとそれを懐かしく思う瞬間があるんですよね。実家のまずい麦茶のような、ノスタルジーに近い味。だから僕は好意的にまずいコーヒーと言っています」と中村さんは話すが、温かいコーヒーは居心地のよさを高めている。

SNOW SHOVELING BOOKS & GALLERY
住所:東京都世田谷区深沢4-35-7 2F
TEL:03-6432-3468
営業時間:13:00〜19:00
定休日:火曜、水曜
SNOW SHOVELING ウェブサイト

 
 

駒沢大学|喫茶・洋菓子 LARE
駒沢の街の歴史を見守ってきた老舗喫茶で嗜む一杯

アジア初となる東京オリンピックが開催された1964年から50年以上もの間、親子二代に渡りコーヒーと洋菓子の店として続く老舗。お店の前の玉川通りは、当時オリンピック開催に伴い拡張された後、高度経済成長期を迎え路面電車が地下化し、高速道路が頭上を走った。そんな街の大きな変遷を「LARE(ラルー)」はこの地でずっと見続けてきた。「個人店だからこそ、商品を通して人の心にも寄り添えるお店として、お客様との交流を大切にしています」と話すのは、店主の礒部さん。父である87歳の現役パティシエが作り続ける、ふわりと優しいスフレタイプのチーズケーキは、温かみのある昔ながらの美味しさ。爽やさが香るマンダリンコーヒーともよく合う。昭和の懐かしさが漂う店内で、優しい洋菓子とコーヒーを飲みながら、マスターやパティシエと駒沢の街の歴史を語らうことができるのは、ラルーだけの魅力だろう。ぜひ店主とのひとときも楽しんでほしい。

喫茶・洋菓子 LARE
住所:東京都世田谷区駒沢3-16-2
TEL:03-3421-0831
営業時間:平日 10:00~19:00、日・祝日 10:30~18:00(喫茶は16:30 LO)
喫茶・洋菓子 LARE ウェブサイト

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